空家所有リスク

空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号:平成26年11月27日公布)が今年2月26日に施行されました。

平成25年の統計によると、全国に約820万戸もの空家があるとされてますが、対象となるのは保安上の危険や衛生面、景観面への問題、その他周辺の生活環境の保全を図る上で放置する事が不適切である状態にある空家で、これを特定空家等と呼び、行政による立入調査や場合によっては指導・勧告・命令・代執行の措置が執られる事もあります。

この法が施行された背景には、空家の中でも賃貸用又は売却用の住宅及び二次的住宅(別荘等)以外の人の住んでいない住宅が過去20年で倍増(平成25年度統計で約318万戸)している現状を踏まえ、将来的にも人口減少に伴い全国的に放置される空家の増加が懸念されるという状況があります。
社会資本たる住宅及び土地の整備を推進し地域活性化を促進するために、行政的・税制的措置を講じて空家を除去又は活用しようというのがこの法の主旨。

概ね大変よろしい事なのですが、空家の所有者にとって頭の痛い点がひとつ。

空家対策を実施する主体は各市町村なのですが、これを後方から支援するのが国。固定資産税の措置が講じられるんですね。
「この法の規定に基づき、市町村長が特定空家等の所有者等に対して周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置をとることを勧告した場合は、当該特定空家等に係る敷地について固定資産税等の住宅用地特例の対象から除外することとする。」とされてます。

具体的には、現行の住宅用地特例では固定資産税の課税標準が小規模住宅用地(200㎡以下の部分)は1/6に、一般住宅用地(200㎡を超える部分)は1/3に減額されてますが、これが見直されるのです。
200㎡と言うと約60坪。庶民感覚では十分に広い土地ですよね。そうした土地に如何にぼろ家であろうとも住宅が建ってさえいれば敷地の固定資産税が1/6となる恩恵を受けてましたが、市町村がこりゃいかんと判断して改善勧告した場合は固定資産税として納めていた金額が6倍に跳ね上がるということなんです。

勿論、適正に管理されて周辺地域に悪影響を及ぼしていない住宅であれば問題無いでしょうし、行政もいきなり勧告を出す事は無いでしょう(先ずは指導から)。
しかし相続した実家が遠方にあり手入れが行き届かないケースもあると思われます。幾つも空家を抱えて改修に手が回らない大家さんもいらっしゃることでしょう。指導されても経済的に対応が困難なケースも予想されます。

現に空家を所有されている方は、こうした法が施行されたと言うことを頭の隅に入れて将来の戦略を立てられる事をお勧め致します。