不動産という商品は、この世に同じものはふたつと存在しません。
しかし、同じマンションの同じフロア、同じ間取り、同じ金額の物件同士の場合、それが新築だとしたら異なる要素は位置(部屋番号)くらいのものでしょうか。
更に、物件そのものは異なれど、同じ町内、同じハウスメーカー、同じ間取りだとしたらどうでしょうか。
更に更に、隣町であったとしても、最寄駅からの距離、築年数、家賃が同じだとしたらどうでしょうか。
一般にお部屋探しを始めたばかりの段階では、不動産ポータルサイトでお目当ての街(市区)又は沿線を選び、賃料の範囲を選択し、間取りと駅からの距離、築年数にて絞り込むといったステップを踏むと思います。
少なくとも、我々が周辺相場を調べる際の主な指標としては、地区、間取り、建物面積、建築年月、駅からの距離を主な目安とします。
これらの数値のバランスが良い物件は良物件と言えるでしょう。優等生的な物件ですね。
一方、築40年を経過したポンコツの戸建で駅から徒歩15分の物件があるとします。普通に考えるとなかなか入居者が決まらないケースですが、ペット多頭飼いOKという条件が付された物件だとしたらどうでしょう。例えば猫が5匹飼えるという物件は本気で探してもなかなか見つからないものですが、5匹のネコと共に引越を考えてる方にとっては幾ら旧かろうが、幾ら遠かろうが唯一そこしか無ければ決めるでしょう。
私はソツなく何でもこなす優等生的な物件よりも、癖があるが味わいのある、個性のある物件に惹かれます。
そのひとつがガレージハウス。
今回推すのはプライベートスタジオのある部屋、防音室付きマンションです。
1Rの部屋とは別にエアコン完備の防音室があるのです。一応デザイナーズ物件で随所に拘りが散見されるのですが、やはり光るのは防音室。この一点。
こうした個性の強い部屋をスィートスポットと感じるターゲットは極めて少なく大多数の方はスルーするのでしょう。ハイシーズンのこの時期にも拘わらずなかなか埋まりません。
しかし、「唯一無二」 「ユニーク」 「One and Only」 「Just Fit」な物件は、最初こそ浸透するのに時間がかかるかも知れませんが、一度認知されれば人気物件と成り得、周辺の優等生的物件の劣化を傍目に見ながら5年10年と快走を続けるのだと思います。
ドラマや映画でも個性的な怪優が脇を固めると引き締まるものですよね。
この役はあの人じゃないとダメだ。と指名されるような唯一無二な俳優。
そして名脇役は息が長い。
不動産とも通じる気がします。